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2019.7.31

ヘルスケアTipsVol.42トラベルレスキュー<後編>
知っておくと◎ 乗り物酔い&耳の痛みの対処法

トラベルレスキュー前編では、時差ボケと急な眠気に関する対処法をご紹介しました。後編では乗り物酔いと、飛行機内で感じる耳の痛みに関する対処法をご紹介いたします。今回対処法を教えてくださるのは、みのり耳鼻咽喉科の須田稔士先生です。

「乗り物酔い」について知ってみる

なぜ、乗り物酔いが起こるのか?

乗り物酔いは、耳の鼓膜の更に奥にある「内耳」という場所が深く関与しています。この内耳の中にある、三半規管と前庭という箇所に3次元的な揺れなどの刺激に対して体のバランスを調整する役割があって、ここに縦揺れや横揺れなどの様々な刺激が絶え間なく加わると、刺激を安定的に制御する自律神経系が制御不能となり異常信号を発信! あくび、冷や汗、ふらふら感、気持ち悪さなどの、いわゆる乗り物酔いの症状として現れるのです。

乗り物酔いしやすい人、酔いにくい人の差は?

酔いやすい人、酔いにくい人の違いは、先程挙げた三半規管や前庭などの感覚器の成熟度であったり、自律神経系の感受性が関係します。つまりまだ感覚器が未成熟である小学校入学前の幼児、自律神経系の感受性が衰える老年期などは一般的に乗り物酔いになりにくいとされています。三半規管や前庭機能を常に鍛えている人(例えばよく運動する人、高所作業などをしている人、フィギュアスケートをはじめとするスポーツ選手)も同様になりにくいようです。

一方で酔いやすい人…というよりは酔いやすい条件としては、自律神経が不安定な状況、例えば睡眠不足や体調不良、「酔ってしまうのではないか」と不安感や緊張感が高まったとき、不快な温度・匂いなどの環境の中で、大きい揺れが早いピッチで起こる場所(主に乗り物)に身を置くことで三半規管や前庭により多くの刺激が加わり、結果酔ってしまうという状況になります。

乗り物酔いを防ぐ方法は?

予防法 その1
まず大事なのは、乗り物に乗る時の体調です。よく睡眠をとり、体調を整えておくことをお勧めします。また、普段から体を多く動かしておくことも大切です。「酔ってしまうのでは…」と心配することは酔いやすい条件を助長してしまいます。この場合は、乗り物酔いのお薬を前もって内服しておきましょう。乗り物酔いの薬には、自律神経を落ち着ける作用があります。

予防法 その2
乗り物に乗っている間もなるべくリラックスできるようにしましょう。換気をよくして嫌な匂いがこもらないように、なるべくゆったりした服装でいましょう。好きな音楽を聴くことも効果的です。

予防法 その3
なるべく揺れの少ない場所を選び乗車・乗船しましょう。バスであれば、前から4~5番目あたり。船であれば中央部分の揺れが少なくなります。また、スマホをずっと見ていたり、読書や細かい作業、カードゲームは避けて、なるべく遠くの景色を見るようにしましょう。

乗り物酔いをしてしまった時の対処法は?

乗り物酔いになりやすい条件のうち当てはまるものがあるのであれば、その状況を改善します。例えば換気をしたり、ゲームをやめて外を眺めてみたり、きついベルトやネクタイを緩めてみたりリラックスできる環境を整えます。そして、乗り物酔いの薬を飲みましょう。効果発現に少々の時間を要しますが、吐き気や不安感などを抑える作用があります。それでも症状が改善しない場合は、可能であれば一度停車して休憩が最も良い対処法となります。

飛行機内で感じる耳の不調

「キーン」という耳の痛みの原因は?

もともと鼓膜の奥、中耳は閉鎖された空間で、耳と鼻をつなぐ管である耳管が開いたり閉じたりする時に中耳の圧調整をしています。離陸・着陸時には機内の気圧が変化するため、中耳内の空気が膨張・縮小してしまいます。この時、耳管の開閉がうまくいき圧調整がうまくできると痛みは生じないのですが、耳抜きが不得意であったり・風邪や鼻炎などで耳管の開閉がうまくいかず圧調整がうまくいかないと、柔らかい膜である鼓膜が中耳内の空気の膨張・縮小に合わせて飛び出したり・凹んだりしてその時に痛みが生じてしまいます。

耳が痛くなりやすい人、なりにくい人の差は?

基本的には、耳抜きが苦手な人は痛くなりやすいようです。その違いは、耳管機能にほぼ依存します。エレベーターに乗ったり登山などで高所に行く時に、あくびや鼻をつまんで容易に耳抜きが出来る人は耳が痛くなりにくい人と言えるのです。

しかしここに普段と違った要素(耳管機能の障害)が加わることで、普段は耳が痛くなりにくい人でも、耳が痛くなる場合があります。耳管とは耳と鼻をつなぐ管ですから、耳と鼻に問題があると耳管機能に障害が出ます。耳と鼻のどちらに問題が多いかというと、実は鼻の方に問題が多く存在します。

一番多いのは、もともと耳抜きが苦手な人が風邪やアレルギーなどで鼻が詰まっている時に、飛行機に搭乗するケースです。「航空性中耳炎」と呼ばれ、鼻が詰まっている=耳管の鼻側の粘膜が腫れているため耳管も詰まり気味となり、結果的に耳抜きがうまくいかずに痛みが発生します。また搭乗する数日前に鼓膜のトラブル(急性中耳炎など)になっていると、やはり少ない気圧変化でも痛みの原因になってしまう場合があります。

耳の痛みを避ける方法は?

予防法 その1
搭乗時までになるべく体調を整えておくことが重要です。体にむくみがあると耳抜きもしにくくなります。お子様にはグミなどの噛むタイプのお菓子を離着陸時に食べさせて、なるべく耳抜きしやすくしておくことも重要です。

予防法 その2
風邪や鼻炎のある場合には、医院に受診をして内服や点鼻薬を使用してなるべく鼻が通る状態で搭乗しましょう。

予防法 その3
耳抜きがしにくい人向けに、圧調整ができる耳栓が販売されています。インターネットや大型ドラッグストアでも販売されていますので、前もって購入をして搭乗すると幾分症状が軽減されます。

耳が痛くなったときの対処法は?

対処法 その1
違和感や少しの痛みを感じた際には、基本的には何とかして耳抜きをすることです。鼻をつまんで風船を膨らませるように頬を膨らませるバルサルバ法を行います。出来なければ、ガムやグミを噛むなどで少しでも耳抜きが出来るようにしてください。

対処法 その2
痛みが強くなってしまった場合には、耳抜きをしようとさらなる努力をしても更に痛みが悪化する可能性があります。この場合には、鎮痛薬の内服となります。ただし、鎮痛薬は効果の発現までに少なくとも15分から30分程度はかかります。当初から耳抜きが不得意な人は、事前に処方してもらっておくまたは購入しておくこともお勧めします。


いかがでしたか?乗り物酔いしやすい方、飛行機での移動で耳が痛くなりやすい方は、事前の対処で症状が出なくなったり、和らげたりすることができます。これから夏休みを利用して、海外旅行や長期旅行に出かける予定のある方も多いかと思いますので、参考にしてみてください。

取材/文:Yuki Oniishi

須田 稔士 医師

みのり耳鼻咽喉科 院長須田 稔士 医師

平成15年
東京慈恵会医科大学医学部卒業
第97回医師国家試験合格
東京厚生年金病院 耳鼻咽喉科
平成17年
東京慈恵会医科大学付属病院耳鼻咽喉科学講座 助手
平成20年
静岡県富士市立中央病院 医員
平成22年
東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科学講座 助教
平成23年
東邦大学大森医療センター耳鼻咽喉科 助教
平成25年
静岡がんセンター頭頸部外科 副医長
平成27年
東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科学講座 助教、専門医研修指導医

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